30代中年おじさんのナンパのススメ

ナンパして、人生をバラ色に変えちゃおう

第22回、足立花火大会2016ー17

「まぁ、成功っちゃ成功かな?」
アラシが口を開いた。


「成功でしょ。今まで連絡先聞いたことも無いんだし。」 俺は答えた。


「そっか、そうだよね」


「アラシさんあの眼鏡女でもイケる?」


「あー、大丈夫だね。可愛くはないけど、それでもイケると思うよ。ハヤオは?」


「タイプじゃないけど、やるだけだったらいいっすよ。」


「ハヤオ、次に繋げてくれよ。」

「わかりました。あの眼鏡女じゃなくても、別の友達と2:2であっても良いね」


俺は早速LINEを送った。
「今日は楽しかったよ。今度ゆっくり飲もうね~🍺」



あれから1年と4ヶ月…。

彼女は未だに、俺のメッセージを見ていない。

第22回、足立花火大会2016ー16

「速く来な。」


眼鏡女が、また呼んだ。


俺たちは追いついて、四人であるいた。


「あの子嫌がってないかなぁ?」
アラシにちょっかい出されて眼鏡女が不快な思いをしていないか気になったようだ。


「ちょっとゴメンね。」
千住大橋を渡るときワンピース女は俺の手を離して前の2人と並んで歩いた。


俺の前を左から眼鏡女、アラシ、ワンピース女
と並んで歩いている。。


俺は一人その光景を後ろから眺めながら付いていった。

俺と話して楽しくなかったのかなぁ?
少しさみしい気持ちと、アラシに対する嫉妬と入り交じって、テンションもさがった。


しばらくするとワンピース女が戻ってきた。

「大丈夫だった?」
俺は尋ねた。


「うん。そんなに嫌がってなかったみたい。」
笑顔で答え、また手をつないだ。



駅に着く。

眼鏡女とワンピース女は別々の路線でかえるようだ。


ワンピース女はJR。眼鏡女は東武線。

「途中まで送る。」
ワンピース女が眼鏡女に言い始めた。

「駄目だって。アンタそんなことしたら帰れなくなるでしょ?」
眼鏡女が強めの口調で答えた。


「そしたらビジネスホテル泊まるもん。」



「ダメ。帰りなさい。」
眼鏡女はそう言ってワンピース女をJRの改札に押し込もうとした。

「あ、LINE教えてもらってない。」
俺は思い出してワンピース女からLINEを聞き出した。

「じゃあ、連絡するよ。」


俺たち3人は、ワンピース女を見送った。


眼鏡女も帰ろうと東武線の改札に向かった。



「じゃあね」
俺たちは
眼鏡女が改札に入り見えなくなるまで見ていた。

第22回、足立花火大会2016ー15

女の方も握り返してくる。


「もっと速く歩け-。」
10mほど先を歩いている眼鏡女が後ろを振り返りながら叫んだ。


横のアラシがなだめるように眼鏡女の肩を叩く。

そのまま肩を組もうとしているが、眼鏡女に手でふり払われていた。



俺の右肩にワンピース女が頭をもたれかかってきた。



あれ?これイケる?
とりあえずキスしちゃう?


俺の中で色々な考えがめぐる。



また眼鏡女が振り返るかもしれない。

下手にキスすると、警戒されて次に繋がらないかもしれない。


どうする?おれ。



考えた末、ワンピース女に、一言告げた。

「後で連絡先教えて。」



今考えれば、キスしといても良かったかも知れない。
しかし、ヘタレた俺の精一杯だった。



ワンピース女はコクンと頷いた。

第22回、足立花火大会2016ー14

「えぇと、2人はどんな関係なの?凄い仲良いから学生時代からの友達?」


「んーん、違うよ。このブレスレットのゲームで知り合ったの。」


「え?何それ?なんてゲーム?」


「****ってゲーム。歩くとレベルが上がったり、街のオブジェや名所に行くとアイテムもらえたりするの。」


「あぁ、聞いたことある。そうなんだ。」










出会ってからかれこれ2時間はたったであろうか。



「そろそろ帰ろうか。終電もあるし」
眼鏡女が言う。




「どこまで行くの?」

「北千住。」


「ちょっと、これ持って」

眼鏡女がアラシに指示する。



「もうちょっと飲まない?」

アラシが眼鏡女に言う。



「もう、帰らないと間に合わないから。」

眼鏡女はかたくなに帰ろうとした。



荷物をまとめて、ゴミはアラシに持たせて、眼鏡女は歩きだした。

「ほら、あんた達早く行くよ。」



アラシはゴミを片手に眼鏡女と並んで歩いている。


俺はワンピース女と話しながら歩く。
少しヨロけている。



「大丈夫?」

俺はそう言ってワンピース女の、手を握った。

第22回、足立花火大会2016ー13

「あれ~。遅いなぁ?トイレ行って迷子になったんじゃない?ちょっと見てくるよ。」
俺はトイレのある方へ向かった。



トイレの前に着いて、鍵がかかっているかチェックする。


1つだけ鍵のかかっているトイレがあり、俺はしばらく待つことにした。



トイレのドアが空き、中からワンピースが出て来た。


「大丈夫?心配だったから迎えに来たよ」

「ほんと。ありがとう」


足元も暗くて見えない中、ワンピース女が転ばないように横に付いて歩く。


「あ、でかい石が落ちてる。気をつけて。」
そう言ってワンピース女の手を取る。


2人で手をつないだまま元の場所に戻った。

第22回、足立花火大会2016ー12

「浴衣着ないの?」

「去年は浴衣着てたけどね。今年は仕事帰りに直接来たから」


「へぇ-、そうなんだ。写真ないの?浴衣の」


「えーと…」
ワンピースはスマホを取り出し去年撮った写真を見せてくれた。


「ぉお、いいじゃん。かわいいね」

2人ともおそろいのブレスレットを付けていた。
「何それかわいいね。」


「これ、光るんですよ。ほら」
そう言ってブレスレットを光らせた。




「あたしちょっとトイレ行ってくるね」
ワンピースは立ち上がりトイレへ向かった。

トイレの周りのライトは消えて真っ暗である。その暗がりの中へワンピースは消えていった。


俺、アラシ、眼鏡女、の3人でしばらく話している。

トイレに行ったにしては、少し遅い気がする。結構酔っていたから、もしかして道に迷って戻って来れなくなっているのかも。
…それとも、俺らみたいな奴にナンパされているかも。そう考えたらいてもたってもいられなくなった。

第22回、足立花火大会2016ー11

赤いワンピースを着た女と、ボーイッシュで眼鏡をかけた女の2人組だ。




「こんばんは、花火見ました?きれいでしたね。」
アラシが話しかけた。
アラシは眼鏡の正面に、俺はワンピースの正面にしゃがんだ。



「えぇ、はい、あのー、まだ大丈夫ですか?」
赤いワンピースが答える。



「ん?何が?」



「えっと、まだここに居てもいいですか?」



「え?俺たち見回りの人間じゃないよ」



「えっ?じゃあまだ居てもいいんですか?」



「どうぞどうぞ。」



「あの、これ食ってもいい?」
アラシは2人が食べているつまみに手を伸ばした。



「あ、どうぞ。あとこれも…不味いんで食べて下さい」



「不味いの食わせるんかい!」
俺たちは笑いながらツッコんだ。



「今日は何時くらいから来てたの?」



「あたしは夕方から来て場所取ってたの。で仕事おわってからからこの子が来て」
眼鏡の女が答える



「そうなんだ。毎年来てるの?」



「そう。去年も一緒にきたよ。」
ワンピースの女が答えた。