30代中年おじさんのナンパのススメ

ナンパして、人生をバラ色に変えちゃおう

第18回、酔っぱらいにご注意ー5

まわりよりスローペースで歩く女。
時々ふらつくのは、酔っている証拠。



「アラシさん、あれ酔ってますよ。どうぞ。」

「いや、ハヤオ良いよ」



俺たちは、別に酔っている女を襲おうってことじゃない。
ただ、酔っているとみんなガードが低くなり、知らない人でも話してくれるんだよね。

そんな女性は狙い目だと思う。




「今晩は、大丈夫?」

「はぁい、大丈夫です。」
ゆったりとして、少し呂律のまわってない感じ。
あたりだ。完全に酒飲んでる。


「少しフラフラしてたから、飲んでたの?」


「はい、部長と2人でのんでました。」
AKBの峯岸みなみに似た感じの20代後半の女性だ。


「2人で飲むなんて、仲良いね、会社はこの辺なの?」


「そんな仲良くはないですけどね、会社も近くじゃ無いんですけど。」


「えー、じゃあ、なんで小岩なの?」


「部長の行きつけのお店があるんです」


「へぇ~、そうなんだ、お姉さんは家は小岩なの?」


「市川です。」


「市川?だったら隣じゃん。なんで駅から遠ざかってるの?」

第18回、酔っぱらいにご注意ー4

「いえ、よく見えないんですよ」


俺たちは答えた。

いつの間にか後ろには鳶職らしき作業服を、着た20代後半の男も立っていた。


作業服の男はスマホを取り出し、カメラのライトで照らしながら下から覗いてみる。


「見えますか?」
みんな仔猫が心配だった。


「あっ、いたいた、奥で時々動いてるのがいますね」


「どれ?あぁ、はいはい、居るね。結構おくだな。」
アラシも確認したようだ。

俺もスマホ片手に覗いてみた。
「ああ、居るね。自分で動いているから自分で出てこれそうですね」


「そうですね、大丈夫そうですね」 
ロングヘアの女性も納得したようだ。


「猫好きなんですか?」

これも出会いだ、声かけなきゃ。と思い、話しかけた。

「そうなんですよ、うち3匹飼ってるんです。」


「へぇ~、いいですね。」


「じゃ、あたしはこれで」


そう言って、彼女はその場を後にした。
全くナンパにはならなかった。


鳶職人らしきお兄さんも、無言で歩いて行った。


俺たちはそこから少し歩き、富士そばの前で立っていた。

第18回、酔っぱらいにご注意ー3

ミャー、ミャー。



あいかわらず仔猫の鳴き声が聞こえる。



「あれ?まだ猫鳴いてますね」

「そうだな、どこから聞こえるんだ?」

「俺もそう思ったんですよ。こっち?」



俺は宝くじ売り場の裏に回った。

ミャーミャー。

声がする。宝くじ売り場とイトーヨーカドーの間の隙間からだ。



隙間は板でふさいであるが、下が少し空いている。

「こっち側からはみえないなぁ、反対側に行ってみるか」



正面に戻った。
こちらも板でふさいであるが、下が少し空いている。



「え、どこから?」
「仔猫?」



通りがかりの家族も猫を探そうとしている。


「見えますか?」
40代半ばでキャリーバッグを持ったロングヘアの女性が話しかけてきた。

第18回、酔っぱらいにご注意ー2

「ここ目立つね」
アラシが言う。


「そうですね、ちょっと歩きましょうか」


俺たちは歩き出した。


南口を出て左に進むと、地蔵通りがある。


この通りは汚い居酒屋とイヤラシいお店が乱立している素敵な通りだ。


そこを抜けると、キャバクラの呼び込みが大勢立っている。




俺たちが歩いていると、右から左から、つぎからつぎへと客引きがやって来る。


「さあ、お兄さん、今日は、キャバクラの方は?」


それをかわし、高架下に差しかかると、今度は台湾系と中国系マッサージのオバサン達からのお誘い。


「お兄さん、マッサージ、マッサージ」


またそれをかわし北口の宝くじ売り場に戻ってきた。

第18回、酔っぱらいにご注意ー1

JR総武線小岩駅
この駅に来るのはもう何度目だろうか?


以前来たとき、アラシが声をかけた瞬間、
女の人が「キャー」って悲鳴を上げたのを思い出す。





秋の夜風が涼しく、時折肌寒く感じる。



誰が言ったか知らないが、秋は何をするにも良い季節らしい。


食欲の秋
スポーツの秋
読書の秋


そして、ナンパの秋。


ってことで
いつものように相方のアラシも一緒だ。



そしていつものように、街を徘徊して、今日は北口に陣取った。


北口の宝くじ売り場には高額当選者の手形がある。


金運と恋愛運は関係ないと思うが、一応 手を重ねてみる。
俺より少し小さめの手だ。


時々仔猫が鳴く声が聞こえる。
虫の声ならず、仔猫の鳴き声をBGMにどの仔猫ちゃんに声をかけるか人波を眺めていた。
まったく発想がオッサンである。

第17回、新宿ー8

「俺より先に行くなんて、珍しいですね」


「うん、って言うか、逆に今日どした?全然じゃん。」


「いやぁ、何ですかね。なんて話しかけても無視されそうで…。
でも、行きますよアラシさん行ったんだから俺も行かなきゃ」
なんとか気持ちを高ぶらせて声をかけることにした。



「こんにちは、お疲れさんです。」

「…。」

彼女は足早にその場を立ち去った。

第17回、新宿ー7

女性のレポーターは新人らしくオドオドしていた。
カメラマンはイライラした様子でレポーターに吐き捨てるような口調で何か言っている。
レポーターは暗い表情でうつむいて、今にも泣き出しそうだ。


女性のレポーターは歩行者天国を歩く女性に話しかけては断られてを繰り返していた。


レポーターが話しかけ、足を止めた女性がいる。
道の端にいるカメラマンの所に2人で行き、何かしらのアンケートに答えたようだ。


「あれ終わったら行くよ」
アラシがスタンバイ状態になった。


女性が解放され歩き出す。

すかさずアラシが話しかけた。

「あの、今のインタビュー何の番組ですか?」


「バイキングです。」


「じゃあ、テレビ出るんですね。」

「さぁ、」

女性の反応もかんばしくなく、アラシも粘らずそのまま離れた。