30代中年おじさんのナンパのススメ

ナンパして、人生をバラ色に変えちゃおう

第21回、レイプ魔と俺-1

ゴールデンウィークも終わり、いつもの仕事に追われる中、最初の週末がやってきた。



俺たちは、ホームタウンとも言うべき松戸駅前にいる。



前回ここに来たときには、友達の奥さんらしき人物が男と歩いていた。
あの日以来だ。


そして相方はいつものアラシ。



花見の時は人が多すぎて…と言うのは言い訳に過ぎないが、情けない結果に終わった。
もっともっと、ガンガン声をかけなければいけない。



時間は夜8時をまわったところ。
いつも通り駅の東口、西口を一通り見て回った。


まだ声はかけていない。


東口の出口近くにしゃがんで電話をしてるビジネススーツの女の子がいた。

大学生の就活。もしくは、新入社員であろう。


軽く酔っているらしく、気だるそうに電話をしている。

第20回、花見ー5

こんばんは、さくら綺麗ですね」

「え、えぇ、そうですね」
黒い帽子の方は驚いたようすで答えた。


「どこ行くんですか?」

「あそこのスタバに…」

「じゃあ、俺たちも一緒に行っていい?」
俺はヘラヘラ笑いながら聞いた。


「いや、友達が来るんで」

「あ、そう~。じゃあね~」


「ダメでしたね」
俺はアラシに話しかけて、失敗した恥ずかしさを誤魔化した。

「人が多くて声かけづらいな」
アラシは言った

俺たちはそのまま帰ることにした。

第20回、花見ー4

西郷隆盛銅像を、見た後また最初の桜の通路に戻った。



また奥まで歩く。
2人とも声はかけていない。



「イェーイ!!」
大学生風の2人組のチャラ男が若い女の子にビール片手に話しかけていた。


ナンパだ。


「あれってアリなの?」
アラシが俺に聞く。


「まぁ、何もしないよりはいいんじゃないですかねぇ」
俺たちは、今日まだ1度も声をかけていない。



「まぁな、ナンパに正解はないからな。俺たちもやらなきゃな。」



また1番端っこまでたどり着いた。 



これでは駄目だ
「アラシさん、あれいきましょう」


俺は、ツバの広めの黒いハットをかぶった女と、白っぽい服装の2人組を指差した。


「いいよ、いこう。」


俺はそっと斜め後ろから近づき、声をかけた。

第20回、花見ー3

「ここの階段下りてみます?」


「そうするか。」


階段を下に降りると、不忍池につく。露店が眩い光をはなっている。


一通り歩き、また桜の通路に戻ることにした。


何も出来ないまま今日は終わるのか?
嫌な空気感が2人を包む。


階段を上り桜の通路に戻った。階段と逆方向に進むと、西郷隆盛銅像がある方向だ。


「あっち行ってみます?」


「いいよ、行こうか」


木々が生い茂り、さっきの通りより薄暗い印象をうける。


そこにもブルーシートを広げ宴会をしている集団がいる。


「これって、会社かなぁ?」
アラシがその1グループを見ながら言った。


「あぁ、ポイッスね、めっちゃ楽しそうですね」


「羨ましいわぁ、こんな会社入りたいわ」


オッサンとオッサンの間に若い女性が入り楽しそうに飲んでいる。


俺もアラシも、職場にはおばちゃんしかいない。

仕事内容より、給料より、何より羨ましい職場環境だ。

第20回、花見ー2

「人、多いですね」


「そうだな、これは期待できるな」
心なしかアラシも楽しそうだ。



「一応端っこまで歩きますか」


「そうしよう。」



両サイドからの楽しそうな歓声を聞きながら、桜の途切れるところまで歩いた。



そこは広場になっていて、そのまま真っ直ぐ進むと噴水があり、噴水の手前にはスターバックスがある。



左に曲がると上野動物園の入り口になっている。



右に曲がれば駅の方に向かう。



俺たちはUターンして騒がしい桜並木の通路を戻った。



「声かけづらいなぁ」
1往復してアラシが言う。



「わかります。まわりに人が多すぎて、視線が気になりますよね」


「そうそう、座って飲んでる奴らから丸見えだから、あいつらナンパしてるよって思われるのも、それで失敗するのも恥ずかしいよな」
2人とも人の多さに腰が引けて地蔵になってしまった。


この桜の通路をもう3往復はしている。

第20回、花見ー1

皆さん大好きな「桜」



桜の花の下酒を飲み、楽しく騒ぐ。



まさに今お花見シーズン。



今回は都内有数のお花見スポット、上野公園でナンパすることにしました。



普段は人見知りな日本人でも、お酒が入れば陽気で社交的になりますよね。
まさに絶好のナンパスポット。



俺たちは上野公園に着いた。
相方はいつものアラシだ。


入り口のしだれ桜は満開。


俺たちは、道なりに真っ直ぐ進んだ。


両サイドには、それは見事に咲き誇る桜。


その花の下にはブルーシートを広げ、段ボールで起用にテーブルを作り、宴会を催している人達。


通路には訪れた人が花を見ながら歩いていたり、笑顔で写真を撮ったりとても楽しそうな風景が目に入る。

第19回、疑惑ー8

「あれ?奥さんは?」
アラシはタクシーに乗ったことに気付かなかったらしい。


「タクシーに乗っていきました。」


「そうなの?それにしても今の動き、理解できないわ」


「俺もです。タクシーに乗るのが目的なら、階段を降りてからタクシー乗り場に行けばいいんですよ」


「そうそう。あの無駄にワンブロック歩く意味が無いもんな。」


「俺らの目眩ましですよ。んで、尾行に気づいたからタクシーに乗ったと、で男を途中で拾ってラブホですね」


「ラブホかぁ…。つらいなぁリュウジ…。」


「これ、おもしろがってリュウジに言わない方がいいですよ。ヘタに突っつくと、あいつの家庭が壊れますよ」


「そうだよな。俺らの胸の内にしまっておこう。」


限りなく黒に近いグレーのままこの話は幕を閉じる。