「まぁ、成功っちゃ成功かな?」 アラシが口を開いた。 「成功でしょ。今まで連絡先聞いたことも無いんだし。」 俺は答えた。 「そっか、そうだよね」 「アラシさんあの眼鏡女でもイケる?」 「あー、大丈夫だね。可愛くはないけど、それでもイケると思うよ。ハヤオは…
「速く来な。」 眼鏡女が、また呼んだ。 俺たちは追いついて、四人であるいた。 「あの子嫌がってないかなぁ?」 アラシにちょっかい出されて眼鏡女が不快な思いをしていないか気になったようだ。 「ちょっとゴメンね。」 千住大橋を渡るときワンピース女は俺の手…
女の方も握り返してくる。 「もっと速く歩け-。」 10mほど先を歩いている眼鏡女が後ろを振り返りながら叫んだ。 横のアラシがなだめるように眼鏡女の肩を叩く。そのまま肩を組もうとしているが、眼鏡女に手でふり払われていた。 俺の右肩にワンピース女が頭を…
「えぇと、2人はどんな関係なの?凄い仲良いから学生時代からの友達?」 「んーん、違うよ。このブレスレットのゲームで知り合ったの。」 「え?何それ?なんてゲーム?」 「****ってゲーム。歩くとレベルが上がったり、街のオブジェや名所に行くとアイテムも…
「あれ~。遅いなぁ?トイレ行って迷子になったんじゃない?ちょっと見てくるよ。」 俺はトイレのある方へ向かった。 トイレの前に着いて、鍵がかかっているかチェックする。 1つだけ鍵のかかっているトイレがあり、俺はしばらく待つことにした。 トイレのド…
「浴衣着ないの?」「去年は浴衣着てたけどね。今年は仕事帰りに直接来たから」 「へぇ-、そうなんだ。写真ないの?浴衣の」 「えーと…」 ワンピースはスマホを取り出し去年撮った写真を見せてくれた。 「ぉお、いいじゃん。かわいいね」2人ともおそろいのブレスレッ…
赤いワンピースを着た女と、ボーイッシュで眼鏡をかけた女の2人組だ。 「こんばんは、花火見ました?きれいでしたね。」 アラシが話しかけた。 アラシは眼鏡の正面に、俺はワンピースの正面にしゃがんだ。 「えぇ、はい、あのー、まだ大丈夫ですか?」 赤いワン…
「あぁ、ちょっとおばさんかな。」 「俺らとそんな変わらないんじゃないですか?俺らもおじさんだし。」 「そっか、じゃあどっち行こう?」 「どっちでもいいですよ。」 「なかなか決めらんないなぁ。両方行くのはむりだよね?」 アラシはしぶっているのか中々声をかけ…
もう残っている人もまばら。 ましてや女2人なんてほぼいない。 でかいブルーシートの手前に小さいレジャーシートを敷いた2人組。そこから10mほど川下に行ったところにレジャーシートに座っている2人組。 「アラシさん、どっち行く?」 「どっちがいいかなぁ…
「こんばんは、花火綺麗でしたね」 俺はさっそく話しかける。「え、はぁ」 キレイめの恰好の女が答えた。足元にはワインの空き瓶と、使い捨てのプラスチックのワイングラスが置いてあった。 「ワイン2人で1本空けたんですか?」 「えぇ、まぁ」 そう言いながら2人…
「アラシさん、あれは?」 俺は土手の傾斜にレジャーシートを敷いて話している少し元ヤンぽい30代と思われる2人組を指さした。 「あれかぁ。」 アラシはあまり乗り気じゃない返事をした。 「イマイチですか。じゃあ、端っこまで行って、誰もいなかったらあの2人…
「あたしたちもう帰るんで、他にかわいい子いるんで、よそ行った方がいいですよ。」 紺の浴衣が言った。 「え?どこにいるの?そんな人」 「ほら、あそことか、あっちとか」 紺の浴衣は後ろを振り返り適当に指さした。 「いないよ。俺たち誰でも良いわけじゃないか…
さっきまでレジャーシートに座ってた2人が立ち上がり荷物を片付けはじめた。 「アラシさん、行かなきゃ帰っちゃいますよ。早く早く。」 そう言って俺はせかした。 「わかった!」 アラシは足早に浴衣の2人に向かった。 「こんばんは、花火綺麗でしたね。」 紺の…
「あれはどうですか?」 俺は10m先を指さした。 レジャーシートに腰掛けて話しをしてる浴衣の2人組だ。暗くて顔はハッキリ見えない。 「あれかぁ、若すぎない?」 アラシは言った。 「若くても良いじゃないですか、ダメで元々。若くても若くなくても、凄え不細工…
前回と今回では少しやり方を変えようと2人で相談して決めた。 前回は花火会場から帰る人に声をかけて、お茶や居酒屋に誘うというものだったが、 今回は花火が終わってもなかなか帰らず余韻に浸ってる人達に声をかけることにした。 そっちの方が効率が良さそ…
ひゅ~ ドーンドン!ドン! バラバラバラ!! 時間通りに、花火が打ち上がった。 夜空を彩る大輪の花。 月並みな表現だがしっくりとくる。 あちこちから「おー」とか「綺麗」とかの言葉と拍手が聞こえる。 ラストを飾る花火が暗闇を激しく照らし、今日を締めくくった…
去年に引き続き、足立区の花火大会にやってきた。 相方はお馴染みのアラシ。 メインとなる会場は荒川河川敷である。 あの広い河川敷に人がびっしりと集まっている。 俺たちは花火がよく見えるような場所を求め、ブルーシートやレジャーシートのすき間を縫っ…
俺達はそのまま尾行を続けた。 坂を上がりきって信号を渡るとコンビニがある。 コンビニを通り過ぎたところで女の通話が終わったようだ。 俺はすかさずアラシから離れ声をかけた。 「こんばんは、大丈夫ですか?」 「あ、は~い。大丈夫で~す。」 女はゆったり…
俺達もすぐに動けるように距離を縮めた。 しかし、男は無理やりどうこうする様子はなく、しばらくしたら女から離れていった。 男はレイプ魔ではなかった。 俺達と同じで、ナンパしてただけのようだ。 俺達と違うのは電話が終わるまで待てずに話しかけたとこ…
「もしかしたらあいつ、この暗がりに乗じて女を隅っこに引っぱり込んで無理やりやろうとしてるんじゃないですか?」 俺は少し心配になった。 「えー、まさか。 でも、どうかわからないな」 「もし、そうなったら助けましょう。」 そう言って俺は気を引き締め、グッ…
「あーはいはい、いたいた。」 「あいつもあの女狙ってるのかな?」 「えー、そんなことある?」 「だって、女の歩く速度すげぇ遅いのに一定の距離とって歩いてますよ」 「そうだな、俺らは女尾行してるからわざと遅くしてるし…」 「あ、曲がった」 作業着の男は右に曲が…
しばらくすると、女は立ち上がり歩き始めた。 東口の出口を出て階段を下りる。 電話はしたままだ。 スカウトマンらしき若者が電話中の女に何やら話しかけている。 しばらく話した後スカウトマンは駅に戻っていった。 「ハヤオ、どうする?」 アラシが聞いてき…
行き交う人、特に男は彼女のパンツが見えることに気付き、通り過ぎる時に、チラッと見ていく。 ハタから見てると、パンツを見ようとしてるのがバレバレだ。自分も他人にあんな風に見られてるんだな、 と思った時に恥ずかしさを覚えた。 40代のサラリーマン風…
「アラシさん、あれ酔ってますよ。」 「あぁ、ポイね」俺たちは顔を見るために彼女の目の前を通り過ぎることにした。 「かわいいね。」 アラシは嬉しそうに言った。 「そうですね、あとパンツ丸見えですね」「ハヤオも気づいた?」「もちろん。でもガン見すると、気付い…
ゴールデンウィークも終わり、いつもの仕事に追われる中、最初の週末がやってきた。 俺たちは、ホームタウンとも言うべき松戸駅前にいる。 前回ここに来たときには、友達の奥さんらしき人物が男と歩いていた。 あの日以来だ。 そして相方はいつものアラシ。 …
こんばんは、さくら綺麗ですね」「え、えぇ、そうですね」 黒い帽子の方は驚いたようすで答えた。 「どこ行くんですか?」 「あそこのスタバに…」 「じゃあ、俺たちも一緒に行っていい?」 俺はヘラヘラ笑いながら聞いた。 「いや、友達が来るんで」 「あ、そう~。じゃ…
西郷隆盛の銅像を、見た後また最初の桜の通路に戻った。 また奥まで歩く。 2人とも声はかけていない。 「イェーイ!!」 大学生風の2人組のチャラ男が若い女の子にビール片手に話しかけていた。 ナンパだ。 「あれってアリなの?」 アラシが俺に聞く。 「まぁ、何…
「ここの階段下りてみます?」 「そうするか。」 階段を下に降りると、不忍池につく。露店が眩い光をはなっている。 一通り歩き、また桜の通路に戻ることにした。 何も出来ないまま今日は終わるのか? 嫌な空気感が2人を包む。 階段を上り桜の通路に戻った。階…
「人、多いですね」 「そうだな、これは期待できるな」 心なしかアラシも楽しそうだ。 「一応端っこまで歩きますか」 「そうしよう。」 両サイドからの楽しそうな歓声を聞きながら、桜の途切れるところまで歩いた。 そこは広場になっていて、そのまま真っ直ぐ進むと…