第4回、真昼の池袋-1
それは、とある休日、俺たちは池袋にいた。
いつもは、夜にやっていたナンパを昼間にやってみないか。
と言うアラシさんの提案を受けて、せっかくだから人の多い繁華街に行こうと、池袋に行ってきた。
晴れてはいたものの、梅雨も明けておらず湿度も高く、蒸し暑い。
私が最後に池袋に来たのは5年前ぐらい
アラシも5、6年ぶりだと言っている。
この町は、人が多い。
単純にそう思った。
駅からサンシャインに向かう通りなんて人が多すぎて、流れに逆らって歩くのが困難な様子。
ここじゃ声かけできないな。
そう思った2人は、一本通りを変えてみた。
すると、いい感じに人もバラけて話しかけやすそうな感じがする。
とりあえず道なりに歩いて、めぼしい子がいたら、話しかけよう。
あの子は?
アラシが言った
「カワイイねぇ」
しかし、行かない
あの子もカワイイなぁ、しかし、行かない。
「どうしたんだよ、ハヤオらしくないなぁ」
「なんか、今日は行きづらいなぁ。先行ってよ。」
前からキャリーバックを引っ張っている女とすれ違った。
20代前半だと思われるその女は 黒っぽいヒラヒラのワンピース。黒いブーツを履いていた。
「あれ、行くわ」
アラシは言った
キャリーバックの女はすれ違った後に 地図の書いてある看板を眺めている。
アラシが近づいていく、そしてこちらを振り返る。
俺は大きく頷いた。
「すいませーん」
アラシが話しかけると、キャリーバックの女は一瞬驚いたようにアラシを見て、無言のまま足早に去って行った。
「逃げていったな」
俺は言った。
「逃げたねぇ~。へこむわ~」
「第2回の悲鳴あげられたのを彷彿させるよ」
アラシが行ったんだから、俺も行かねばならん。