30代中年おじさんのナンパのススメ

ナンパして、人生をバラ色に変えちゃおう

第5回、花火大会の日-4

「いいえ、違います」
彼女は片側のイヤホンを外し、優しそうな表情で答えた。


前を歩いていたサラリーマンが一瞬振り返ったのが視界の端でわかった。
しかし、もう人目など気にはならなかった。

「ですよね~、だってこれ俺のだもん」


クスッと笑う彼女


「さっき俺とすれ違ったの知ってます?」


「えぇ」


「2回すれ違ったんですけど」


「いえ、それは知らないです」


「最初友達と駅に行きましたよね、その後1人で歩いてるの見かけて、めちゃくちゃタイプだったんで、今追いかけて声かけたんです。」
俺は緊張もあり、カミまくりだ。


「今日は友達と飲んでたんですか?」


「えぇ、まぁ」


「花火見た後に?」


「花火は見てないんです」


「じゃあ、普通に2人で飲んでたんですね。学生ですか?」


今までにない好感触で、もしかしたらイケるんじゃないかという期待と、失敗したくないという不安が俺の中を錯綜していた。


「学生じゃないですよ、働いてます」
彼女は笑顔で返事をする


「そうなんですか。若そうなんで、大学生ぐらいかと思いました。おいくつ何ですか?」


「21です。」


「そうなんですね、高校卒業してすぐ働いた感じですか?」


「違います。専門学校行ってました。」
彼女も普通に返事をしてくれる。


「何の仕事をしているのか?」

「今日一緒に飲んでた人は、何の繋がりの友人か?」

「出身はどこ?」

など、俺は会話が途切れぬよう一生懸命話しかけた。