第5回、花火大会の日-5
セブンイレブンの前に来ると彼女が笑顔で言った。
「あのースイマセン、わたしコンビニに寄って帰るんで…。」
そう言って彼女はコンビニに入ろうとした。
「ちょっ、ちょっと待ってください!!」
俺は慌てた。
「このままだと、もう会えないんで、良かったら連絡先教えてもらえませんか?」
自信と期待を込めて聞いてみた。
「彼氏に怒られるんで、ゴメンナサイ。」
なにやら雲行きが怪しくなってきた。
さっきまでのイケそうな気配がもう感じられない。
「彼氏居るんですか?電話とかしないんで、メールアドレスだけでも教えてくれないですか?」
「怒られるんで、ゴメンナサイ」
さっきと同じセリフだ。完全に拒否している。
しかし、コンビニに入る素振りは見られなかったので、もう少しねばってみた。
だが返ってくる言葉はいつも「ゴメンナサイ」だった。
コンビニには入らないものの、「Yes」の返事は聞こえない。
ここまでねばっても無理なのか?
あまりやりすぎると、「しつこい!」と思われるかもしれない。
そうなったらどっちにしろ終わりだ。
てゆうか、もうダメだろ?
そして、俺は諦めた。
今までおこなったナンパの中で一番の好感触。無視されずに話せたことが嬉しかった。
この調子で行けば、成功する日もそう遠くないのかもしれない。
アラシと共に駅に戻ったが、2人ともその日はもう声かけるのをやめて、帰ることにした。
あとになって考えて見ると、彼女がなかなかコンビニに入ろうとしなかったのは、少なからず脈があったからなのだろうか?
もう少しこちらの熱意が伝われば アドレスぐらいは教えてもらえたのかも。