第8回、君がいた夏-4
「なんて声かけよーかなー」
カミヤはそんなことを言いながら俺らと談笑する。
わりとリラックスしてきたみたいだ。
浴衣を着た二人組に声をかける。
「あのー、僕、暗いところ怖いんで、一緒に帰ってもらっていいですか?」
カミヤは、怯えた子羊のように話しかけた
「え!?嫌です!!」
即答だ。
カミヤは俺らの所に笑いながら戻ってきた。
俺らも笑って迎える。
「俺、もう吹っ切れましたよ」
だんだんテンションが上がってきて、ここに着く前の勢いが戻ってきた。
「次、アラシさん、一緒に行きましょう」
「おお、いくか」
二つ返事で了承した。
不動産屋のまえに貼り出してあるアパートのチラシ。
それを見ている2人の女の子に、背後から近づいていった。
「あのーすいません」カミヤが一声。
女の子達は、返事もせず、振り返りもせず、去っていった。
「無視か…」
俺がつぶやくと
「今のはアラシさんが悪いんですよ」
「どした?」
「声かけようとしてたらアラシさんが、おいカミヤ!けつ触るなよ、って言うんですよ」カミヤが少し憤慨して言う
「わかったよ、もう言わないからさ(笑)」
アラシはおどけて答えた