第8回、君がいた夏-13
俺たちは西口に移動した。
二人組の女性を見かけた。ひとりは水色の浴衣を着ていて、もうひとりは、浴衣ではなく、黒い服を着ていた。
もう時間も遅いし、これで最後にしようと、カミヤとアラシが行った。
「こんばんわ、花火見ました?」
カミヤが声をかける。
「見てません!!」
黒い服の女は怒り混じりの声で強く言いきった。
2人はすごすごと戻ってきた。
「ムリです。なんか話しかける前から、誰かの文句すげー勢いで言ってましたよ」
ため息混じりにカミヤがつぶやいた。
「浴衣着てるのに花火見てないのか?」
「いや、もう話しかけられてイラッとしたんじゃないですかねぇ?」
「そっか。んじゃ、もう帰るか」
俺たちは戦場を後にした。