第9回、北千住-2
「ひとりで声かけれる?」
アラシに聞いた。
「2人で声かけたいんだよねぇ、女1人に2人で声かけたらダメ?」
「ダメでしょ!絶対警戒してついてこないよ。」
相変わらず、アラシは腰が重いようだ。
俺は、このままじゃいけないと自分を奮い立たせ、目の前を歩いている女に声をかけた。
「すいません、ナンパなんですけど。」
焦って声をかけたもんだから、何も考えずに言った。
「…」
女はこちらを、いっさい見ることなく返事もせずに去っていった。
適当に声かけたもんだから、全てにおいてザツな感じがした。