第10回、職務質問ー4
俺たちは、駅から出てきて信号を待っている人を見て、 誰に声をかけるか吟味していた。
「俺、あの娘いきます。」
「どれ?」
「帽子被って、リュック背負ってる女の子」
信号が赤から青に変わり、みんなこっちに向かって歩いてくる。
「すいません」
ビクッ!?
彼女は突然の声をかけられ、驚いたようだ
「すいません、あのー」
「…」
シカト
俺はアラシに報告した。
「どうします?もう人も少なくなってきましたよ」
「そうだな、んじゃあと一回まわり歩いて、誰もいなかったら帰るか」
そう言って駅前を歩いていた。
制服を着た警察官が3人立っている。
「何かあったのかなぁ、」
そう言いながら、アラシは何度も警察官の方を振り返る。
「あんまり不振な動きするのやめといた方がいいよ、来るから」
俺はそう言って警察を見ようともせず、アラシに向かって手を横にヒラヒラ振った。
「お兄さん達、すいません。ちょっといい?」
突然後ろから声をかけられた。
振り返ると、さっきの警察官だった。
40代前半の警察官。その両脇には、つい最近警察官になったばかりといった感じの新米が立っていた。