第12回、足立花火ー2
「なぁハヤオ、ナンパ師のブログとか見て勉強したんだけどさ、褒めた後ちょっと落とすと良いらしいよ」
前の人について歩きながらアラシは言った。
「ん?褒めて落とすってどうゆうこと?」
「例えば、フリルの付いた服を着てたとするじゃん。
そしたら、
『そのフリルかわいいね、うちのカーテンみたいだよ』とかね」
「トレンチコート着てたら
『そのトレンチコートステキですね、もしかして探偵ですか?』みたいな感じだけどイケるかな?」
「あぁ、なるほどね、良いんじゃないっすか?使っていきましょうよ」
ナンパにおいてこうしたら100%成功するなんてセオリーは無い。
その人それぞれのやり方でやっていくしかない。ましてや俺らには決まったパターンも無いんだから色々なやり方を試して行く必要がある。
明るめの茶パツの2人組が道端に立ててある地図を見ていた。
地図を見終わった後話しかけた。
「こんばんは、迷子なの?」
「いえ、大丈夫です。」
俺らは歩きながら、めぼしい人を探した。
あまりにも歩きすぎたので回りに人が居なくなってしまった。
「アラシさん、戻りましょっか」
「そうだな。」
前から浴衣を着た二人組が歩いてくる。
「浴衣着てるとかわいく見えるよな」
アラシはうれしそうに言った。
「よし、あの二人いきましょう」
俺達は声をかけることにした。
「こんばんは、花火綺麗でしたね。」
「はぁ…」