第13回、縁結びー6
水道橋の手前で路上に設置してある地図を見ている2人組がいた。
「アラシさん、あれいきましょう」
後ろ姿だけしか確認していないが、俺は話しかけた。
「こんにちは、迷子ですか?」
「えっ?あー、はい…。」
「どこにいくの?」
そこで2人の顔をよく見た。
1人は小柄で厚化粧の女
もう1人は、シュレックをかわいくした感じの女。
「東京大神宮までいきたいんですけど、」
本当に迷っているようだ。
「あぁ、はいはい。知ってますよ。縁結びで有名なね」
「そうです。行きました?」
「行ったことはないけど、知ってます」
男2人でさっき行ってきたとも言えず、俺もアラシも嘘をついた。
「この道を真っ直ぐ行って、二つ目の信号を右に曲がってしばらく行くとだいたい良いところに出るから、もし解んなかったらそこでまた聞いてみて」
「ありがとうございます」
ふたりは笑顔で答えた。
「うん、良い出会いを」
俺たちも笑顔で手をふった。
「これだけ話して好感触だったから電話番号でも聞けばよかったかなぁ?」
アラシが俺に尋ねる
「そうですよね、シュレックの連絡先聞いても意味ないと思ってやめといたんですけど、一応聞いておいた方がよかったですよね。」
少し後悔した。
「仮にシュレックの連絡先を聞いたとして、シュレックを落とさなくても、合コン開いて友だち連れてきてもらって、次にその友達にまた別の友だち連れてきてもらえば、そのうち当たりがきますよね」
「そうだよな。その手があるよな」
この反省を次に生かそうと俺達は、前向きに歩き出した。