第17回、新宿ー3
通訳がいて、おじさんがしゃべる作り方の説明を翻訳してくれた。
もともと、レザークラフトに興味があった俺は、食い入るようにのぞき込み、作業を見る。
アラシも、珍しいものを見れたことを楽しんでいるようだった。
しばらく話てから、握手をしその場を後にした。
今度は南口に向かった。
一通り商品を見た後店を出た。
「俺の父親が言ってたんだけど…。」
アラシが語るように話し始めた。
「どんな高級店にいっても、堂々としろ!
例え自分の給料じゃとても手が出ないような商品が並んでるような店でも臆する事無く堂々と胸を張れって」
「あぁ、言いたいこと解る気がします。
何か買う目的で店に行くときは堂々としていられるけど、何か買う目的じゃ無くて店に行くと、どうせひやかしだろ?って店員に思われてそうでオドオドしちゃうんですよね。」
「そういうときでも卑屈にならずに堂々としてろって父親に言われた事があるよ。」
そんなことは、経験した者じゃなきゃ言えない。
きっと、アラシの父親もそんな経験があったのだろう。