ミャー、ミャー。
あいかわらず仔猫の鳴き声が聞こえる。
「あれ?まだ猫鳴いてますね」
「そうだな、どこから聞こえるんだ?」
「俺もそう思ったんですよ。こっち?」
俺は宝くじ売り場の裏に回った。
ミャーミャー。
声がする。宝くじ売り場とイトーヨーカドーの間の隙間からだ。
隙間は板でふさいであるが、下が少し空いている。
「こっち側からはみえないなぁ、反対側に行ってみるか」
正面に戻った。
こちらも板でふさいであるが、下が少し空いている。
「え、どこから?」
「仔猫?」
通りがかりの家族も猫を探そうとしている。
「見えますか?」
40代半ばでキャリーバッグを持ったロングヘアの女性が話しかけてきた。