第18回、酔っぱらいにご注意ー4
「いえ、よく見えないんですよ」
俺たちは答えた。
いつの間にか後ろには鳶職らしき作業服を、着た20代後半の男も立っていた。
作業服の男はスマホを取り出し、カメラのライトで照らしながら下から覗いてみる。
「見えますか?」
みんな仔猫が心配だった。
「あっ、いたいた、奥で時々動いてるのがいますね」
「どれ?あぁ、はいはい、居るね。結構おくだな。」
アラシも確認したようだ。
俺もスマホ片手に覗いてみた。
「ああ、居るね。自分で動いているから自分で出てこれそうですね」
「そうですね、大丈夫そうですね」
ロングヘアの女性も納得したようだ。
「猫好きなんですか?」
これも出会いだ、声かけなきゃ。と思い、話しかけた。
「そうなんですよ、うち3匹飼ってるんです。」
「へぇ~、いいですね。」
「じゃ、あたしはこれで」
そう言って、彼女はその場を後にした。
全くナンパにはならなかった。
鳶職人らしきお兄さんも、無言で歩いて行った。
俺たちはそこから少し歩き、富士そばの前で立っていた。