第18回、酔っぱらいにご注意ー6
彼女は駅から、大通りに向かう道を歩いていた。
この大通りは、蔵前橋通りと言われ
千葉方面から真っ直ぐ蔵前の方に延びている道路だ。
「友達が迎えに来てくれるって言うんで、蔵前橋通りで待ってようと思って。」
「あぁ、そっか、良い友達だね」
「そうなんですよ~。」
「じゃあ、俺と話してるとまずいよね?」
「大丈夫ですよ、もう少し時間かかるって連絡来たから」
笑顔で答える彼女。
俺は今までにない手応えを感じた。
「ん?あれ?友達って、もしかして男?つーか彼氏?」
ふと去年の花火大会で たすけて~ と言ってた女を思い出した。
「違いますよ、女の子」
蔵前橋通りの交差点の信号を渡り、吉野家の前で待つことにした。
しばらくたわいの無い話をしていると、急に女性のスマホが鳴った。
「うん、うん、違うよ、知らない人」
彼女は迎えに来た友達と話しているらしい。
白い車が目の前に止まる。
俺の方を一切見ること無く助手席のドアを開けて乗り込む。
運転していたのは男だった。
「うわー、まずいなぁ。」
基本的に揉め事は起こしたくないので、誤魔化そうと車に背を向け、吉野家の看板を眺めた。
車は何事も無く走りだした。
アラシの元に戻りことの顛末を語った。
「なんなのその女?」
アラシは俺の話を聞いて憤慨した。
「多分、暇だったんじゃないっすか?迎えが来るまでの間の暇つぶしですよ。」
「にしても、彼氏が迎えにくるなら言えよな!」
「ホントっすよ!!」
そして俺たちは家に帰った。