第19回、疑惑ー7
奥さんとは30mくらい距離をおき、物陰に隠れながら後を追う。
奥さんが1つ目の角を右に曲がると、小走りで角の手前まで近づき、壁の陰からそっと顔を半分出し奥さんを確認する。
また一定の距離が開いたら、素早く回り電柱の陰やビルの陰、看板の陰に隠れながら後をつけた。
奥さんは次の角を右に曲がった。
そのまま真っ直ぐ進むとまた駅に戻る。
角のビル陰からそっと覗き、奥さんとの距離が離れているのを確認し、角を曲がった。
ビルの陰に隠れ
様子を見る。アラシもそれに続こうとした。
突然。 奥さんが振り返った。
夜も遅く、俺たちと奥さんの間には誰も歩いて居ない。
俺は隠れられていたかもしれないが、アラシは完全に見つかった。
「あちゃー、バッチリ見られちゃったよ」
アラシは少し申し訳無さそうに言葉を、発した。
奥さんは、少し歩速を早め駅に戻った。
改札へは階段を上がらなければならない。
1階はロータリーになっていて、バス停、タクシー乗り場がある。
奥さんは電話したまま、タクシー乗り場からタクシーに乗り、そのままどこかへ消えて行った。