第20回、花見ー2
「人、多いですね」
「そうだな、これは期待できるな」
心なしかアラシも楽しそうだ。
「一応端っこまで歩きますか」
「そうしよう。」
両サイドからの楽しそうな歓声を聞きながら、桜の途切れるところまで歩いた。
そこは広場になっていて、そのまま真っ直ぐ進むと噴水があり、噴水の手前にはスターバックスがある。
左に曲がると上野動物園の入り口になっている。
右に曲がれば駅の方に向かう。
俺たちはUターンして騒がしい桜並木の通路を戻った。
「声かけづらいなぁ」
1往復してアラシが言う。
「わかります。まわりに人が多すぎて、視線が気になりますよね」
「そうそう、座って飲んでる奴らから丸見えだから、あいつらナンパしてるよって思われるのも、それで失敗するのも恥ずかしいよな」
2人とも人の多さに腰が引けて地蔵になってしまった。
この桜の通路をもう3往復はしている。