第6回、独りぼっち-6
そして、俺は駅に戻った。
1人に声をかけはしたが、勢いはつかず相変わらずの地蔵状態。
地蔵とは、ナンパしようと思ってはいるが、声をかけることが出来ず、地蔵のように固まっている状態である。
地蔵になるには、「どうせ声をかけてもダメだ」、「シカトされるに決まってる」
などネガティブな考えが自分を支配し、自信を無くし、段々と気持ちが落ちていき、最終的に地蔵になるのです。
もしかしたら、軽い鬱みたいな精神状態なのかもしれません。
このままじゃあまりに情けないので、最後に1人行っておこう。
そう思い、何とか自分を奮い立たせ、ひとりの女性に声をかけた。
「あのー、ナンパなんですけど」
「フフフ」
25歳くらいの女性は笑った。
こちらを見ることもなく、歩みも止めない。
笑ったので、もう一言言ってみた。
「これからどこか行きませんか?」
「もう帰るんで」
そう言って女性はエスカレーターを降りて行った。
最後のつもりで声をかけたので、俺も帰ることにした。