第8回、君がいた夏-12
あの 「助けてー」と叫ばれてから時間も大分経過した。 俺たちは また東口に向かった。
街灯がまばらな薄暗い通り。ガードレールに腰掛けた20代後半の2人がいる。ひとりは可愛いが、もう一人はブサイク。
例えるなら、オアシズの大久保さんを少し崩した感じ。
「こんばんわ、これからどこ行くんですか?」
「帰ります」
例によって、断るのはブサイクの方だ。
「そうなんですか。花火見ました?」
「あのー、このこもう結婚するんで、ゴメンナサイ。」
そう言ってブサイクは隣にいる可愛いこを指して言った。
「あぁ、それは、おめでとうございます。」
「結婚前の最後に飲みに行きませんか?」
「ムリです」
またブサイクが 答える。
結局、可愛いこの声すら聴けず、その場を後にした。