第10回、職務質問ー7
「何聞かれた?」
「名前と、住所と生年月日。ハヤオのことも聞かれたけど、それには答えなかったよ。 何で言わないのか解んないけどさぁ、言いたくないなら言わなくてもいいよ。」
アラシはそう言って、俺を後押ししてくれた。
「別に、やましい物も持ってないし、名前だって言っても良いんだけど・・・、ただ、このまま黙っていたらどうなるのかなぁと思って。 あと、一方的に疑われるのも腹立たしいし。」
「わかるよ、犯罪者扱いだもんね。まぁ、俺のことは気にしなくて良いから、好きにやったらいいよ。」
警察に聞こえないようにしていたヒソヒソ話しは終わった。
そうと決まれば、「何も言わない!!」そう心に決めた。
「どう?話しまとまった?名前教えてくれる?」
「・・・」
俺は何も答えなかった。
その後、何の質問をされても俺は、沈黙を貫いた。
最初に声をかけられてからもう2時間はたとうとしていた。
バイクで来たのだが、壊れてしまったのでアラシは電車で帰らなければならない。
少しずつ歩いて、駅に向かった。改札に向かおうとすると、警察官が前に立ちふさがる。
「何ですか?任意ですよね?もう帰るんで、じゃましないでください」
「そうですよ。だからお願いしてるんです。」
「だから協力できませんって。帰ります。」
「いや、ちょっと待って。」
改札に行こうとする俺に、警察は体を盾にして、行かせないようにする
「どけ!」
「行かせない!」
そうこうするうちに、警察の応援がきた。
しかも5人。
合計8人に囲まれ、終電も近い。