30代中年おじさんのナンパのススメ

ナンパして、人生をバラ色に変えちゃおう

第15回、柏ー6

どうやら、おやじが地域活動をする団体のようだ。
そのイベントのチラシ、案内を配っていた。



「あの、カメラとってますよね。どこですか?」
今度はカメラマンに聞いた。


NHKです。放送で流しても大丈夫ですか?」


「いや、だめです。」
俺は即座に断りアラシの元に戻って説明した。


「ふーん、暑いのに大変だな。誰ももらってくれないし」

「俺らも暑いのに、頑張ってますよ。あんまり声かけてないけど」

「俺も行かないとな」
アラシも何とか声をかけるために、モチベーションをあげようとしている。


とうとうアラシが動いた。
「すみません、あのこれからどこ行くんですか?」

柏の葉

女の子はそう言って足早に去って行った。

柏の葉ってなに?」

「わかんねーっす。」


俺達は柏の葉がなんなのかわからないまま電車に乗った。


後日、テレビの深夜番組を見ていたら、モジャ頭がテレビに出ていた。

モジャ頭の男は
「柏のライオンマル」と呼ばれる素人だが、何回もテレビに出ている 変わった素人だった。


きっと駅前を徘徊して、声かけられるのをまっていたなどのだろう。

第15回、柏ー5

あまりに人が多すぎると、人目を気にするし、どの女の子にするか迷ってしまいなかなか動けない。

だが、それでもやるしかない。

「こんにちは、どこ行くんですか?」
俺は地蔵を打開するために声をかけた。

高島屋。」
そう言って女の子は高島屋に入っていった。


夕方になってきて浴衣を来た人がちらほら見える。

どうやら今日は柏の花火大会のようだ。


駅の東口に行くと、またモジャ頭とすれ違った。


広場の端っこには、珍来の場所を聞いてきたおっさん2人が、缶ビールを飲みながら何やら楽しそうに話している。


チラシを配っているメガネをかけたおじさんを、テレビカメラが撮っている。


「アラシさんあれなんですかね?」

「うーん、よくわかんないなぁ」

「ちょっと聞いてきます。」

俺は早速おじさんに近づいた。

「よろしくお願いします。よろしくお願いします。」
おじさんからチラシを受け取った。

「すみません、これ何ですか?」

柏市でおやじの活動としていろんなイベントを企画してやっている団体です」

第15回、柏ー4


「ぉおー、さっきの!! 行けなかったの?」


「全然違う場所に着いたよ!!」
おじさんたちはご立腹だった。

「ぶはは、そっか、ゴメンゴメン。」


あの時丁寧にお礼を言ってた おっさん。
教わった通りに素直に行った おっさん。
嘘を教えられたことに気付いた おっさん。


それを考えると、笑わずにはいられなかった。


「だから、俺、わからんけどって言ってたじゃん」


「わかんねぇなら教えるんじゃねぇ」
おっさんはまだご立腹だった。


おっさん達とわかれたあと駅の改札付近で人を眺めていた。


またモジャ頭とすれ違った。

第15回、柏ー3


ギャルママはスマホを取り出し、子供とそいつと3人で写真を撮って、頭を下げ去って行った。


「あのもじゃ頭、有名人なの?」

「そうかも知れないですね。」


西口に行く途中ステージがあった。そこではアイドルグループが何やら歌を歌いながら踊っていた。


少し立ち止まりエロい目で見ていた。

「そろそろ行こう。」
アラシの声に正気に戻り西口についた。


西口には高島屋があり、大多数がそこに向かっていた。


しばらく西口の出口付近で地蔵のように行き交う人を眺めていた。


「また東口行きましょうか」

俺達また歩き出した。

またモジャ頭とすれ違う。


広場を降り、アーケードを歩いていると

「あー、さっきの全然違うじゃねぇかよ!!」
また2人組のおっさんに声をかけられた。
あれから二時間近くたっただろうか。
あの時とは打って変わって声を荒げて酒臭い息を吐き出している。

第15回、柏ー2

おっさん2人は俺達に礼を言い教わった通りに歩き出した。


柏駅には数年前に一度来たことがある。

「凄いね、ハヤオ、知ってるんだ。」


「いや、適当に言っただけです。」
俺は珍来の場所は知らない。

あっちの方にあったらいいのにとおっさん2人の無事を祈る。


アーケードにあるドンキホーテで飲み物を買った。

店から出ると、20代と思わしき女性。

「アラシさん、おれ行きます。」
女性の後を追いかけ、声をかけた。


「こんにちは、暑いですね。」

「…。」


本日一発目はシカトだった。


駅に戻り西口に向かう。



「あれ?あいつさっきもすれ違った。」

「どれ?」

「あれ」
俺は指さしてアラシに教えた。

「あぁ、いたね」


破れた服、モジャモジャの頭

そいつを目で追っていると、子供連れのギャルママが
そいつに話しかけた。

「えっ、逆ナン?」

「子連れで?」

俺達は驚いた。

第15回、柏ー1

日曜日の昼。
夏の陽射しが照りつける。

千葉県柏市、東の渋谷と言われるこの街が本日の戦場だ。

「東の渋谷」一体誰が言ったのだろうか。ひょっとして柏を小馬鹿にして言ったのだろうか?


駅について改札をぬけると、人、人、人。
「東の渋谷」の名にふさわしく、この街はたくさんの人であふれていた。


「人多いなぁ。」

「そうですね、思った以上ですね」


いつものごとく駅周辺を散策することにした。

東口を出ると広場になっていた。右を見るとOIOIがあり、中央にはビッグカメラの入っているビル 少し離れた左側に SOGOがあった。

俺達はそのまま真っ直ぐ進みエスカレーターで下に降りた。

商店街を進みどの女の子に声をかけようか探しながら歩く。


「すいません」


女の子に声かけようとしていた俺達が逆に声をかけられた。


「はい?なんでしょう?」

「あの、ちんらい、って中華屋の場所知りませんか?」


40代半ばと思われる2人組のおっさんだった。


「あぁ、珍来ね、えぇと、わかんないけど、この道を真っ直ぐ行って、1つ目か2つ目の信号を左に行くとだいたい良いとこに出ると思うよ。んで、そこでまた誰かに聞いて。」
俺は親切に教えてあげた。

第14回、北千住1人

以前にも、1人でこの街に来たことがある。

地蔵になってなかなか声もかけられず、惨敗した街だ。


あれから多少なり場数を踏み、成長した。
以前の俺とは違う!


今日こそは結果を残すぞと意気込んでやってきた。

平日の夜にもかかわらず、相変わらずこの街は賑わいを見せている。


以前来たときと同様に、広場の端の手すりに腰をかけるように寄りかかり、駅から吐き出される人波を眺め、好みの女性が出てくるのを待っていた。

やはりしばらくは、あの子に声かけようかな、どうしようかな。
なんて葛藤を繰り返し、なかなか声をかけられずにいた。

このままじゃ来た意味ないじゃん。


「こんばんは、あの…」 
何とか気持ちに踏ん切りをつけて話しかけた。

話しかけると同時に返事も無くおもむろに手に持っていたスマホで電話をはじめたのだ。

苦笑いしながら俺はその場を後にした。

1人でやっているとまわりの視線が気になる。
相方がいるときは、
「あはは、ダメだった (笑)」
なんて誤魔化したり、お互いを励ましあったりしてやれるが、1人は一度落ちたらなかなか気持ちを高めることが出来ない。


躊躇してなかなか話しかけることができない。
地蔵気味だ。


赤いワンピースの女。


「こんばんは、大丈夫ですか?」

女はこちらを見るでもなく、頷いて足早に去って行った。


あれから成長したはずだが、まだ1人ではしんどい。

いつかは一人でも、いつでも、どこでもやれるようになろう。

そう心に決めこの街を後にした。