30代中年おじさんのナンパのススメ

ナンパして、人生をバラ色に変えちゃおう

第19回、疑惑ー7

奥さんとは30mくらい距離をおき、物陰に隠れながら後を追う。



奥さんが1つ目の角を右に曲がると、小走りで角の手前まで近づき、壁の陰からそっと顔を半分出し奥さんを確認する。



また一定の距離が開いたら、素早く回り電柱の陰やビルの陰、看板の陰に隠れながら後をつけた。



奥さんは次の角を右に曲がった。
そのまま真っ直ぐ進むとまた駅に戻る。



角のビル陰からそっと覗き、奥さんとの距離が離れているのを確認し、角を曲がった。


ビルの陰に隠れ
様子を見る。アラシもそれに続こうとした。



突然。 奥さんが振り返った。
夜も遅く、俺たちと奥さんの間には誰も歩いて居ない。


俺は隠れられていたかもしれないが、アラシは完全に見つかった。



「あちゃー、バッチリ見られちゃったよ」
アラシは少し申し訳無さそうに言葉を、発した。



奥さんは、少し歩速を早め駅に戻った。
改札へは階段を上がらなければならない。



1階はロータリーになっていて、バス停、タクシー乗り場がある。


奥さんは電話したまま、タクシー乗り場からタクシーに乗り、そのままどこかへ消えて行った。

第19回、疑惑ー6

「男が居ない。」
俺は呟いた。



「後で合流するつもりだな。」
アラシが言う



奥さんは左に進み、階段を降りた。右手にスマホを持ち耳にあて、誰かと電話しているようだ。



俺たちのは、慎重に、バレないように距離をとり、見失わないように後をつけた。



階段を降りるとキャバクラの呼び込みが声をかけてきた。



それを無視し、奥さんの背中を追った。



「アラシさん、尾行する時って、相手の後頭部を見ちゃダメなんですよ。相手の足元を見るんですって。」
俺はどこかで聞きかじった話しをした。



「なんで?」



「後頭部だと、相手が急に振り返ったときに目があうんですよ。 でも、足元だと視線が逸れてて、バレにくいんですって。」


でもそれは顔バレしてない人が尾行する場合であって、今回のような状況には当てはまらないということにその時は気づいてなかった。



「へぇ~、初めて知ったよ。」
アラシは納得し、さっそく試すようだ。

「男が居ない。」
俺は呟いた。



「後で合流するつもりだな。」
アラシが言う



奥さんは左に進み、階段を降りた。右手にスマホを持ち耳にあて、誰かと電話しているようだ。



俺たちのは、慎重に、バレないように距離をとり、見失わないように後をつけた。



階段を降りるとキャバクラの呼び込みが声をかけてきた。



それを無視し、奥さんの背中を追った。



「アラシさん、尾行する時って、相手の後頭部を見ちゃダメなんですよ。相手の足元を見るんですって。」
俺はどこかで聞きかじった話しをした。



「なんで?」



「後頭部だと、相手が急に振り返ったときに目があうんですよ。 でも、足元だと視線が逸れてて、バレにくいんですって。」


でもそれは顔バレしてない人が尾行する場合であって、今回のような状況には当てはまらないということにその時は気づいてなかった。



「へぇ~、初めて知ったよ。」
アラシは納得し、さっそく試すようだ。

第19回、疑惑ー5

「それにしても、似てたんですよね。もう今更ですけど…。」
一体どこに消えたのだろうか。



「やっぱ他人のそら似なんじゃ無いの?普通タバコ吸わないでしょ、男と歩いているの見られたんなら。」


俺も同じようなことを考えていた。



「あっ、また。」
今度は奥さんが改札から出てきた。




「えっ。なんなの?」
アラシもとまどっているようだ。




「わかんないです。追っかけましょう。」
そうして俺たちの尾行は再開された。



さっきと同じ方向に進み、喫煙所の前を通り過ぎ、さっき男が座っていた花壇の前も通り過ぎた。
男はもうそこには居ない。

第19回、疑惑ー4

リュウジと言うのは、もともとは、先輩の知り合いで近所に住んでるってこともあり、何度か顔を合わせるうちに、先輩抜きでも時々飲みに行くような仲になった友人だ。


もちろん奥さんとも、何度となく顔を合わせたことがある。

だが、ハッキリと顔を覚えてなくて、うろ覚えなのだ。




「あれ?さっき顔かくして歩いてたのに、喫煙所でタバコ吸ってますよ」



「えー?やっぱ違うんじゃないの?ハヤオに見つかったと思ったんならすぐにその場から離れるんじゃない?」



「ですよねー、でも凄い似てるんですよ。」



「あっ、奥さんがいない。」
そんな話しをしていたらいつの間にかタバコを吸っていた奥さんがいなくなっていた。



「えっ、男は?」
アラシが慌ててきく。


「います。」



「何だったんだ?居なくなったんならしょうが無い。キオスクの前に戻るか」



「う~ん、そうですね。」
俺は不本意ではあるが、キオスクの前でナンパに備えた。

第19回、疑惑ー3

「あれ?
アラシさん、あれリュウジの奥さんじゃない?」
俺は驚きと同時に慌てて奥さんを指差し、アラシに確認を求めた。



「ん?あれ?うーん?
解んないなぁ。
おれリュウジの奥さんって、あんまりハッキリ見たこと無いんだよね」



アラシは俺の指差す方向に
目をやり、おちついて答えた。


「いや、俺も確証は無いんだけど…。」
世の中には似てる人ってのは居るもんだ。俺も何度か会ったことはあるがハッキリ顔を覚えていない。


気のせいかも知れない?
そう思った。



一瞬奥さんらしき人がこちらを見た気がした。



次の瞬間、奥さんらしき人は今まで顔を上げて歩いていたのに、急にうつむき、手で顔を隠すように前髪を直しながら歩いた。


「えっ!?」
その不自然な仕草に俺の疑惑は確信へと変わった。



「歩きながら、急に前髪直す?これ絶対本人でしょ?
ちょっとつけてみましょう。」



「おう、面白くなってきたな」
アラシは二つ返事で了承した。




2人が行った方向に俺たちも進んだ。
ばれないように尾行しようと思っていたのだが、奥さんは西口出口すぐ横の喫煙所で優雅にタバコを吸っていた。



男は、というと奥さんとは少し離れた所。
花壇の縁石に腰を下ろしスマホをいじっている。

第19回、疑惑ー2

ここには、スカウトマンらしき若い兄ちゃんが4人ほどいて、ジットリとした瞳で改札から出てくる女性を選別している。

ひと度お眼鏡にかなうと、すぐさま声をかけに行くのだ。



まわりに人が居ようが居まいが関係ない。
躊躇なく声をかけれる姿勢は見習うべきところだ。



今度は西口に移動した。




東口よりも広いデッキになっている。
ここは居酒屋の呼び込みの兄ちゃんがたくさん立っていた。




端には喫煙所があり、サラリーマンやら、派手な女やらが皆、一様に口から白い煙を吐き出している。



そのまま真っ直ぐ進むと行き止まりで、そこは時々イベントをやるスペースのようだ。



呼び込みの兄ちゃんの視線が気になり、こえもかけれず、またKIOSKの前に戻った。



しばらく ぼーっと突っ立っていると、東口方向から西口方向に向かって一組のカップルが俺の視界を捉えた。

手はつないでいないが、楽しそうに話しながら歩いている。