30代中年おじさんのナンパのススメ

ナンパして、人生をバラ色に変えちゃおう

第17回、新宿ー6

南口のルミネの階段を下りた広場で右翼団体が拡声器を使って演説していた。


「今、中国の脅威から我が国を護るには…」


みんなが白い目で見ようとも彼らは気にせず演説を続ける。
メモも見ず堂々と人目も気にせず…。


右翼団体の演説を聞きながら女の子を探していた。


「この場所じゃ声かけづらいな」
アラシに促されて歩行者天国に戻る。


歩行者天国にはまだまだ大勢の人が往来していた。

「みんなちゃんと目的があって歩いてるんですかねぇ?」


「どうだろうね、みんな暇で歩行者天国を往復してるだけとも思えないし、何かしら目的はあるだろうね」



しばらく歩くとテレビ局のカメラとレポーターが2人で立っていた。

第17回、新宿ー5

金がなくても、
イケメンじゃなくても、
腹が出てても、
ハゲてても、
学歴なくても、
それでも自信があればいい



では、自信とはどこにあるのか?



それは、自己肯定感の高さからくるのだと思う。



ナンパして、無視されても自分で自分を褒めよう。


バンゲできなくても、声をかける事ができたことを褒めよう。


以前の自分より少しでも変わった自分を褒めよう



他人と比べること無く、ありのままの自分を好きになろう。



そうして、少しずつ自信をつけて、いつでもどこでも人目はばかること無くナンパをしよう。

第17回、新宿ー4

仮にお金を持っていなくても、お金は持っていると自己暗示でもできれば、堂々としていられるだろう。



そんなこと思わなくても、他人からどう見られても気にしない性格なら自然体でいられる。



俺は他人から良く見られたいと思っているし、他人の視線を必要以上に気にしてしまう。



それって、ナンパにも言えることなんだ。



「え、こんな奴がナンパするの?」
「あいつナンパしているぜ」
「オッサンが話しかけるなよ」




そんな風に声かけた女の子や周りの人に思われてそうで、人通りの多いところでは声をかけづらい。



なぜか?



それはやっぱり自分に自信がないからだと思う。

第17回、新宿ー3

通訳がいて、おじさんがしゃべる作り方の説明を翻訳してくれた。



もともと、レザークラフトに興味があった俺は、食い入るようにのぞき込み、作業を見る。



アラシも、珍しいものを見れたことを楽しんでいるようだった。



しばらく話てから、握手をしその場を後にした。



今度は南口に向かった。



南口の高島屋HERMESに入る。


一通り商品を見た後店を出た。




「俺の父親が言ってたんだけど…。」
アラシが語るように話し始めた。



「どんな高級店にいっても、堂々としろ!
例え自分の給料じゃとても手が出ないような商品が並んでるような店でも臆する事無く堂々と胸を張れって」



「あぁ、言いたいこと解る気がします。
何か買う目的で店に行くときは堂々としていられるけど、何か買う目的じゃ無くて店に行くと、どうせひやかしだろ?って店員に思われてそうでオドオドしちゃうんですよね。」




「そういうときでも卑屈にならずに堂々としてろって父親に言われた事があるよ。」



そんなことは、経験した者じゃなきゃ言えない。
きっと、アラシの父親もそんな経験があったのだろう。

第17回、新宿ー1

残暑がまだ残り、日差しも夏を忘れさせないぐらい照りつける。

日曜日、俺とアラシは近くのえきで待ち合わせをした。


立ち食いそばの店に入り、昼食をとりながら今日の作戦をたてる。



俺達は電車に乗り込み新宿に向かった。


日曜日の新宿は人も多く歩行者天国になっている。



いつものごとく、街を徘徊してどこで女の子をチェックするか相談しながら歩く。



一通り歩き、歩行者天国の端まできた。




俺は店を指さしてアラシに聞いた。
「あ、あそこ入ります?」

「いいよ、行こうか」




LOUIS VUITTON



「いらっしゃいませ」
綺麗な店員さんが、薄汚い俺達を出迎える。



特に買う物があるわけでも無くただ、なんとなく入った店。


(おまえらがVUITTON?どーせ買わねーんだろ?)



卑屈な俺には店員の心の声がネガティブに聞こえる。


財布を見た後店を出た。

第17回、新宿ー2

次にBURBERRYに入った。

また綺麗な店員が迎える。
「いらっしゃいませ。」



財布を見ていたら、先ほどの店員が近づいて来た。
「今日は何をお探しですか?」




「財布をちょっと見に」
少しきょどりながら答えた。



「どういったタイプをお探しで?」

俺は店員に説明する。



「そしましたら、こちらのタイプの形になりますね」
そう言って2種類の財布を出してきた。



「はい、ありがとうございました」
俺は一通り財布をみた後、店員に返した。



「あの、今 外国から革の職人さんが来てましてバックを作っているところを見学出来るんですが、見ませんか?」
きっと、このイベントを見にきている客が少ないのだろう、店員は俺たちを誘った。




「ですって、見てみます?」
俺はアラシに聞いた



「いいよ、ちょっと見てみようか」



店員に案内されるまま、階段を上った。




「やあ、どーぞどーぞ。」(もちろん外国語)
小柄で痩せている60代くらいの陽気な外国人が俺たちを歓迎してくれた。
やはり他に客はいない。

第16回、三郷花火

昨年の夏から1年。
様々なところで場数を踏んで、俺もアラシも成長してこの街に戻ってきた。

去年はカミヤもいて3人でのナンパだった。


過ちて改めざるを過ちと言う。

前回の反省点を今回に活かそう。 

どこに行くんですか?
って声かけるより、飲みに行きませんか?それより、そこの白木屋行こう って、声かける方がいいと前回学んだ。 
これを活かそう。


花火が終わり、俺達の仕事の時間がやってきた。



スカートの2人組

「こんばんは、一緒にお茶飲みませんか?」
そう言って俺は手に持っていた飲みかけのペットボトルを差し出した。

「…。」

無視されたが、めげずにもうひと声
「麦茶もあるよ」

「…。」
完全シカト。

2人組に俺とアラシの2人で声をかける時、
俺が最初に声かけると アラシが途中から入ってこず、俺1人で2人を相手に戦わなければならない。


黒系の浴衣を着ている女の子に声をかけた。

「こんばんは、花火きれいでしたね。」
「あ、はい」
突然声をかけられて少し驚いた様子で答えた。


「お姉さんいくつ?」
とても若そうに見えた。

「18。」

「その浴衣かわいいよね。喪服みたい。」
前回の足立花火の時にアラシに聞いた上げて落とす作戦を試した。


「はぁ」
女の子は少しムッとした様子だ。

そのまま会話も盛り上がらず 諦めることにした。


道を歩いていると、
モスから浴衣の女の子が、2人出てきた。


すかさず俺は声をかけた。
「かわいいですね。」


「…。」
彼女達はこちらを見ずにシカトした。