30代中年おじさんのナンパのススメ

ナンパして、人生をバラ色に変えちゃおう

第22回、足立花火大会2016ー3

前回と今回では少しやり方を変えようと2人で相談して決めた。



前回は花火会場から帰る人に声をかけて、お茶や居酒屋に誘うというものだったが、
今回は花火が終わってもなかなか帰らず余韻に浸ってる人達に声をかけることにした。


そっちの方が効率が良さそうだ。



「アラシさん先に声かけてくださいよ」
俺は言った。



「え、なんで?」
腑に落ちない表情てアラシは聞いてきた。



「だって、俺が最初に声かけると、アラシさん入ってこないじゃないですか。そうすると、俺がひとりで2人相手にしなきゃなんないですからね。ひとりで2人はきついですよ」



「あぁ、そうだね。なんか途中からって入りにくいんだよね。ハヤオは途中から入るの上手いよな。

苦笑いしながら、アラシは言った。


「そうですね、俺は途中から入っていけます。次は俺が先に声かけますから、先にお願いします」
俺も笑いながら答えた。



「わかった。そうしよう。」

第22回、足立花火大会2016ー2

ひゅ~  ドーン

ドン!ドン!
バラバラバラ!!


時間通りに、花火が打ち上がった。


夜空を彩る大輪の花。


月並みな表現だがしっくりとくる。


あちこちから「おー」とか「綺麗」とかの言葉と拍手が聞こえる。



ラストを飾る花火が暗闇を激しく照らし、今日を締めくくった。

ゾロゾロと観客が大群をなし帰って行く。



「さぁ、俺たちの仕事はこれからだ」
アラシがやる気をみなぎらせて言った。

第22回、足立花火大会2016ー1

去年に引き続き、足立区の花火大会にやってきた。


相方はお馴染みのアラシ。


メインとなる会場は荒川河川敷である。


あの広い河川敷に人がびっしりと集まっている。



俺たちは花火がよく見えるような場所を求め、ブルーシートやレジャーシートのすき間を縫って歩いた。


2人が座るくらいのスペースならまだまだありそうだ。


「この辺でいいですかねぇ?」
アラシに聞く


「いいんじゃない。座ろうか。」


前日に雨が降ったので、地面はまだ少し湿り気を帯びていた。
俺たちは駅前でもらったウチワをケツの下に敷き座った。



「それにしても俺らってホント2度オイシいと言うか、一石二鳥と言うか…よく考えるよな。普通に花火を楽しんでから、その客目当てでナンパするんだからな」

楽しそうにアラシが言う。



「そうですね。それで結果が出せれば言うこと無し。まぁ失敗しても、花火見に来たと思えばいいですからね」


「そうだな、損はないな」

第21回、レイプ魔と俺-8

俺達はそのまま尾行を続けた。
坂を上がりきって信号を渡るとコンビニがある。


コンビニを通り過ぎたところで女の通話が終わったようだ。


俺はすかさずアラシから離れ声をかけた。


「こんばんは、大丈夫ですか?」


「あ、は~い。大丈夫で~す。」
女はゆったりと返事をしてUターンをした。



「どこ行くの?」


「コンビニ~。彼氏くるから~。」
そう言って女はコンビニの駐車場に入っていった。



俺はそのままアラシの元に戻る。


「駅まで遠いな」
アラシはつぶやいて、坂道を下っていった。

第21回、レイプ魔と俺-7

俺達もすぐに動けるように距離を縮めた。


しかし、男は無理やりどうこうする様子はなく、しばらくしたら女から離れていった。


男はレイプ魔ではなかった。


俺達と同じで、ナンパしてただけのようだ。


俺達と違うのは電話が終わるまで待てずに話しかけたところだ。


「何も起こりませんでしたね…。なんだつまんねーの。とっ捕まえて警察から表彰されたかったのになぁ」


俺はホッとした反面少し残念な気もした。



「アハハ。杞憂だったな。まぁ、何事も無く良かったってとこだな」


そう言ってアラシは俺の肩をポンと叩いた。

第21回、レイプ魔と俺-6

「もしかしたらあいつ、この暗がりに乗じて女を隅っこに引っぱり込んで無理やりやろうとしてるんじゃないですか?」
俺は少し心配になった。


「えー、まさか。
でも、どうかわからないな」



「もし、そうなったら助けましょう。」
そう言って俺は気を引き締め、グッと拳を握った。


「わかった。やれるだけやってみるよ」
アラシは真剣な表情でこたえた。



作業着の男が女との距離を縮めていった。


まさか…。



俺達に緊張が走った。



作業着の男は、追い抜きざまに女がよろけてぶつかりそうになったのをきっかけに声をかけた。



「声かけましたね」



「やばいな、いよいよだな」



女はまだ通話中だ。
相変わらずヨタヨタと歩いている。


作業着の男はその傍らで寄り添うように歩きながら、ときどき女の方に顔を向け、ふらついた時に肩や腰を支えるしぐさを見せる。


いつ何が起こってもおかしくはない状況だ。